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空音の日句帖

更新日2014年 1月 15日 (水)

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2013年1月4日   アナーキーは美なり雪の初日なり
2013年1月5日 白き初日しがみつかない天使かな T
2013年1月6日 鷹を飼う少女の胸の灯谿豊か
2013年1月14日 猫は目を細めひと言春を待つ
たっぷりや雪の静けさの入浴
持ちて翔て南天の実ほどの火を T
2013年1月16日 殺人の多き世の中寒卵
2013年1月17日 冬深し人しんしんと湯を沸かす T
五時間半保(も)った尿意や初笑い
凧揚げの昔は遠くなりにけり
2013年1月18日 壁というもの見つめておりぬ深き冬
2013年1月19日 白米に煮凝溶けて親鸞忌
2013年1月20日 眠る山脈われらまた大いなる
朝日冴ゆ空腹覚ゆ乳飲めり
2013年1月21日 雪原の兎の足跡陽が遊ぶ
2013年1月24日 一本の冬木見上げる白い息
2013年1月26日 黙して芯に蜜溜めている冬林檎
2013年1月29日 幼な子に今夜も還る布団かな
2013年1月30日 素肌の葱生き難きこと多しよ T
2013年2月4日 モジリアーニの女の形猫眠る
2013年2月5日 春の土手終らない旅の一休み T
2013年2月7日 妻の声やわらかく来る春の雨 T
2013年2月9日 猫舐(ねぶ)る絵の具の水の薄氷
2013年2月11日 犬ふぐり何て無意味に美しい
2013年2月13日 人生やただただ夕日美しき T
2013年2月15日 春の宵街灯の下女かな
金鳳花悲しいのは眠いだけ
2013年2月17日 隕石やホモサピエンスの街の上 T
2013年2月18日 時計は今透明に四時かな余寒
2013年2月20日 妻はかつてビー玉少女春の雲
妻のポッケにかつてビー玉春の雲
2013年2月21日 原発事故忘られてゆく亀鳴きぬ T
2013年2月23日 春光や杖の老農眼を細む
2013年2月26日 アンモナイトの夢の続きの朝寝かな
2013年3月3日 春の雨に上手く隠れて暮らすかな
2013年3月6日 嘔吐する青年半月は朧なり
啄木鳥の打音遠くに朝寝かな
2013年3月7日 背中痒くて柱にこする啓蟄なり T
2013年3月8日 五尾の目刺し俺が三尾で猫が二尾 T
2013年3月9日 進化論の議論の最中(さなか)鳥帰る
2013年3月10日 原発許すまじ十万年後の春の土 T
2013年3月14日 天地や広がる広がる犬ふぐり
2013年3月16日 じゃこを食い目刺しを食ってああ春かも
2013年3月17日 陽を歩く頬に残雪からの風
2013年3月21日 犬ふぐり土星の話続くなり
2013年3月30日 虎鶫ネクタイをした神秘主義者
2013年4月2日 触れてみたら桜の幹は温かった T
2013年4月5日 被爆者のまぼろし福寿草土手に群れ
細い月だ猫は一声ヒャーと泣けり T
2013年4月8日 わが庭のドリームキャッチャー風信子 T
スキップするにきびの少女クロッカス
2013年4月20日 貴人来たりて青ヒヤシンスとなりにけり
2013年4月28日 春昼や煙草を吸いて空腹なり
2013年4月30日 あ、川音なまなまと春の闇かな
2013年5月3日 祈りとは寛ぎに似て枝垂れ花
2013年5月5日 春星に漕ぎ出だす帆「汝(な)はそれなり」
2013年5月6日 水跳ねは花の妖精裾花川(すそばながわ)
2013年5月16日 青麦をいたわりいたわり雨が降る
2013年5月20日 岸辺に在り我の泳ぐを見ていたり
藤の花ひかりあるよと眼を細む
矢車草彼の雷神を想うかな
2013年5月23日 藤の山まぶたの如く夢を見る
2013年5月24日 3・11以降蛇等地霊ら騒ぎ止まず
2013年5月26日 栃の花生きているだけで詩なり
2013年5月27日 夏の月幸せはいつも背中に
2013年6月4日 時鳥一句作れば生まれ変わる
2013年6月5日 一人且ついのちなりけり夏の蝶
2013年6月10日 蟻地獄に無邪気に蟻を落としている
2013年6月11日 黄菖蒲と同じ岸辺を分ち合う
2013年6月15日 安上がりに生きるということ麦の花
2013年6月19日 黙契の雨に眠りぬ山法師
2013年6月27日 無選択に自分と生きる草と生きる
2013年6月29日 みちのくから夏蝶来たりて土を吸えり
2013年7月4日 山籠るわれら緑の墓にあり
2013年7月10日 老人一人炎暑の中に麦を刈る
汗の肌を亀虫が這う麦刈りや
2013年7月11日 いずれ原野と婆を慰む草茂る
2013年7月16日 立ち眩みの不安白い立葵
2013年7月20日 花萱草 「首絞めました」と少女言う
2013年7月25日 根無し世代雨にふるえる夏の葉たち
2013年7月31日 もろこしに鴉の攻撃ばっさ婆娑
2013年8月9日 ごみ出しの小径待宵草の朝
苦労して駄作をひねる暑さかな
裸百合朝日の中に立ちにけり
日溜りの虻の狂乱昼深し
トマト食む朝日を汁と思うかな
笑いながら団扇の妻と長話
2013年8月17日 白菜の双葉を愛でる初秋かな
2013年8月24日 山葡萄よろこぶ妻を喜びぬ
2013年9月2日 おずおずと木蓮秋の忘れ花
2013年9月3日 食い飽きた南瓜ごろごろ正戦論
いつの間にか睾丸(きん)掴んでいる秋思かな
2013年9月6日 細き野の道ときどき灯る赤い実
2013年9月9日 牛乳(ぐうぐう)ちゃんおいしいよと初秋の子
2013年9月11日 秋の道細し葉っぱが消えてゆく
2013年9月20日 観月について来るのは家の猫
妻のそばにいつも猫居てすさまじや
2013年9月24日 もんぺ姿の妻や滋味なり藍の花
2013年9月30日 土間から見ゆ遠近法の茜空
2013年10月1日 草の露あまたの光の数式
2013年10月4日 天地一如草一面に露の玉
2013年10月5日 われ若し踊るごとくに麦を蒔く
2013年10月6日 雨降れというに日が照る烏の秋
2013年10月8日 賭けしこと悔いず花札色の草紅葉
2013年10月9日 大花野歩く右足左足
2013年10月12日 口笛やパソコンに来る秋の蜂
2013年10月19日 朝日子消え全体惘惘霧の山
見下ろせば花野なる谷ありにけり
2013年10月20日 山霧よ意志とは土を描くこと
2013年10月24日 台風来る髯茫茫の眼玉来る
2013年10月27日 妻を愛す鬼女伝説の紅葉の村
2013年10月30日 秋風に消えるローソク人みたい
いのちかな秋の光に絮毛とぶ
2013年10月31日 われの木は今金色なり斜面にて
2013年11月9日 筒卵(どうらん)提げ父と歩きし花野かな
2013年11月20日 十字科植物群があるね 木枯しさ
2013年11月22日 乞食数学者の焚火に夕日橋の下
2013年12月2日 雪道のつるうめもどきの実妻へ
冬川の大曲る辺の我が家かな
2013年12月4日 わが髑髏を手に持つカラッと明るい夢
2013年12月6日 カラと枯葉寂静の野に一つ落つ
2013年12月10日 裸木や老人になるはずがない
2013年12月14日 こんなもん食えんと猫飛び出して雪の野へ
2013年12月19日 ひたと一玄冬平野と心音と
2013年12月20日 雪化粧の裸木妻は六十六歳
2013年12月22日 人間は食って糞してああ柚子湯
2013年12月23日 エメラルドの海がなぜ雪の隙間にあるの
2013年12月28日 腰に激痛眼に雪の木の乱反射
2013年12月29日 十二月二十九日熊楠忌 
眼前の冬芽見つめる熊楠忌







俳諧寺